コラム:AIが進んでも、「パワーポイント」を作れない

最近、本当にきれいなパワーポイントが増えました。

図や写真やグラフが随所に入っている
デザインも整っている。
文章も揃っている。

AIのおかげでしょう。

以前なら数時間かかっていた資料が、
今では数分でそれなりのものができてしまいます。

しかし、私は逆に、
パワーポイントを作れない人が増えている
と感じています。

もちろん、スライドはあります。
でも、「作れている」とは言い難い。

そんな資料によく出会います。

どういう意味でしょうか。

 

パワーポイントは「相手を動かす道具」である

そもそも、パワーポイントとは何のためにあるのでしょうか。

美しさやセンスを競うためでしょうか?

そうではありません。

読み手や聞き手に理解してもらい、
納得してもらい、
場合によっては行動してもらうための道具です。

では、そのためには何を考える必要があるのでしょうか。

  • 誰に向けた話なのか。
  • 相手はどこまで知っているのか。
  • 何を理解してほしいのか。
  • 最終的にどうしてほしいのか。

さらに、

  • 「人はどんな順番なら理解できるのか」
  • いきなり結論から入るべきなのか。
  • 背景から説明した方がよいのか。
  • どこでつまずき、どこで納得するのか。

そうした「人の理解のメカニズム」まで考えて、初めて資料になるのです。

 

自分の頭の中が整理できていない

では、伝わらない資料は何が問題なのでしょうか。

実は、こういうケースは極めて多いです。

  • 相手が見えていない。
    • メインの読み手、プレゼンの聞き手を明確にしてない。
    • 例えば、経営層向けの資料なのに現場の細かな説明ばかり
      逆に現場向けなのに経営理論ばかり説明する。
  • 相手の知識量が見えていない。
    • 業界用語や社内用語を当たり前のように使う。
    • 半年前に説明した内容を前提に話しをする。
  • 相手にどうしてほしいのかも決まっていない。
    • 情報を共有したいのか。
    • 判断してほしいのか。
    • 承認してほしいのか。
    • 行動してほしいのか。
  • そして何より、自分でも何を言いたいのか整理できていない。
    • あれも言いたい。
    • これも言いたい。
    • 全部大事。
    • その結果、話があちこちに飛び、情報量ばかり増えていきます。
  • もっとひどいのは、
    上司に作れと言われたから作ったので、自分の言いたいことは特にない
    などというものまであります。

 

「きれいな自己満足」

AIは優秀です。

ぐちゃぐちゃな指示でも、見た目だけはきれいに整えてくれます。

でも、元の考えが整理されていないために、
出来上がるのは、
「きれいだけど、何が言いたいのか分からない資料」です。

最近は、

「全部大事です。」
「全部入れておいてください。」
「あと、AIがうまくまとめてくれるでしょう。」

という期待のもとに作られた資料も少なくありません。

しかし、AIは魔法ではありません。

整理されていないものを、相手に伝わる形に変えることには限界があります。
相手不在の資料は、AIを使っても相手不在のままです。

その結果、生まれるのは、
「きれいな自己満足」です。

そして今、それがAIによって安易に大量生産されています。

 

AI時代になっても、問われるものは変わらない

これはパワーポイントだけの話ではありません。

文章もそうです。
会議もそうです。
営業もそうです。

AIは表現を助けてくれます。

しかし、
「誰に、何を、なぜ伝えるのか」
までは考えてくれません。

では、AI時代になっても最後に問われるものは何でしょうか。

それは、

相手を理解する力。
そして、自分の頭の中を整理する力です。

AIでパワーポイントを作れる人は増えました。

しかし、
相手を動かせるパワーポイントを作れる人は、
それほど増えていません。

むしろ、差は以前より広がっているのかもしれません。

だから今、本物のパワーポイント作成技術が求められています。

 

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