コラム:「データドリブン」という言葉の違和感

最近、「データドリブン」という言葉をよく耳にします。

データ駆動で業務を行う、データ中心に意思決定するというような意味合いです。

「システムが古くてデータドリブンに業務ができない」

「AIを活用してデータドリブン経営を実現する」

そんな説明を受けることも増えました。

ただ、私はこの言葉に少し違和感を感じています。

人によって意味が違うように感じます。

「データを見て意思決定する」

「AIやビッグデータを活用する」

「ERPでデータを一元管理する」

今回は、データドリブンとは何かを改めて考えてみたいと思います。

 

データドリブンもいろいろ

一口にデータドリブンと言っても、その中身はさまざまです。

① モニターし、異常を検知して対応する

売上や在庫、不良率などを継続的に監視し、変化があれば原因を調べて対策を打つ。

② 仮説を立てて検証を繰り返す

PDCAやA/Bテストのように、仮説→実行→測定→改善を回す。

③ データの塊からパターンを発見する

大量データを分析し、人間が気付かない法則や傾向を見つける。

④ IoTなどで現実世界をリアルタイムに把握する

設備や機械の状態を常時監視し、異常の予兆を検知する。

 

データもいろいろ

対象となるデータもさまざまです。

① 売上や在庫などの伝統的なトランザクションデータ

② Webアクセスや位置情報などの行動データ・ビッグデータ

③ 温度や振動などのIoTデータ

④ 会議録、メール、音声などの非構造化データ

つまり、「データドリブンになりたい」と言っても、

何を目的に、

どのデータを使い、

何を実現したいのかによって、

話はまったく変わるのです。

 

「データドリブンになりたい」の問題

皮肉なことですが、

「データドリブンになりたい」

と語る会社ほど、今あるデータを十分に活用できていない。

売上や利益は見ているだけ。

商談数や受注率を見ていない。

在庫や原価の変化を追えていない。

見ていても、アクションにつながっていない。

そんな会社が、

「AIを使ってデータドリブンにしたい」

「ERPを導入してデータドリブン経営を実現したい」

と言う。

しかし、今あるデータを十分に使えていない会社が、
より大量で複雑なデータを使いこなせるとは考えにくい。

データドリブンの難しさは、
データの有無ではなく、データを使って改善する習慣や文化の有無にあります。

 

データドリブンの本質

データドリブンという言葉は新しくても、その本質は昔から変わっていません。

例えば、トヨタは昔から不良率や在庫を見ながら改善を積み重ねてきました。

Walmart はPOSデータを活用して店舗を作り、P&GはPOSデータを商品開発に生かしてきました。

近年のGoogleやAmazonが優れているのも、新しい経営手法を発明したからではありません。
膨大なデータとコンピュータを使い、フィードバックループを圧倒的な速度で回し、ビジネスを常にUpdateし続けいている。

そして、これは決して大企業だけではありません。

中小企業の中にも、売上や粗利、商談数、在庫などをExcelや会計ソフトで継続的に確認し、改善を積み重ねている会社はたくさんあります。

データドリブンという言葉を使わなくても、実際にはデータドリブンな経営をしているのです。

観測する。

異常や変化を見つける。

仮説を立てる。

実行する。

結果を測定する。

改善する。

このフィードバックループを回し続けること。

それこそが、データドリブンの本質と言えます。

 

御社のやりたいデータドリブンは?

御社はどんな「データドリブンになりたい」のでしょう?

どんな目的のために、

どんなデータを使い、

何を改善したいのか。

そして、どんなフィードバックループを回したいのか。

まずは、今あるデータで本当のデータドリブンを実践してみることをお勧めします。

新しいシステムやAIの導入は、それからでも遅くありません。

 

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