
仕事をしていると、
「この人とはまた一緒に仕事がしたいな」
と思う人がいます。
特別に仕事ができるわけではない。
話が面白いわけでもない。
それでもなぜか周囲から信頼され、人が集まってくる。
一方で、
部下を怒鳴る上司。
協力会社を見下す担当者。
立場によって態度が変わる人。
そんな人もいます。
この違いは何でしょうか。
もちろん能力や経験の差もあります。
ただ、その根底には「リスペクト」があるように思います。
リスペクトというと少しきれいごとに聞こえるかもしれません。
しかし私は、持続可能な組織に欠かせない要素だと考えています。
リスペクトは実はコスパが高い
人は、自分を尊重してくれる人に協力したくなります。
部下も、取引先も、顧客も同じです。
逆に、軽んじられたり見下されたりすると、最低限のことしかしなくなります。
言われたことはやる。
しかし、本音は言わない。
困った時に助けようとも思わない。
組織の問題は、能力不足よりも信頼不足から生まれることが少なくありません。
信頼がなければ、管理が増えます。
ルールが増える。
確認が増える。
その結果、組織運営のコストは高くなる。
リスペクトは単なる道徳ではありません。
人と人との協力を引き出す、合理的な考え方なのです。
しかし、リスペクトは簡単ではない
リスペクトが大事ということに異論は少ないでしょう。
しかし実践するのは簡単ではありません。
仕事のできない同僚。
性格の合わない上司。
理不尽な要求をする顧客。
約束を守らない取引先。
こうした相手に対してリスペクトを持ち続けるのはなかなな難しい。
私たちは学校で国語や数学は学びますが、
「尊重しにくい相手をどう尊重するか」
について学ぶ機会はほとんどありません。
だから、多くの人がリスペクトを正しく理解していないように思います。
リスペクトは「尊敬」とは少し違う
日本語では、リスペクトは「尊敬」と訳されることがあります。
しかし英語の Respect は、必ずしも
「素晴らしい人を仰ぎ見る」というような意味ではありません。
むしろ、
「相手の権利や尊厳を認める」
という意味合いが強い言葉です。
仕事ができるから尊重する。
偉い立場だから尊重する。
という話ではありません。
部下であっても、後輩であっても、取引先であっても、一人の人間として扱う。
それがリスペクトの出発点です。
評価とリスペクトは別
リスペクトが難しい最大の理由は、
評価とリスペクトの混同です。
仕事では評価が必要です。
「あの人は成果が出ていない」
「この要求は理不尽だ」
「この取引先は信用できない」
そう判断すること自体は問題ない。
しかし、
成果が出ていないから雑に扱う。
信用できないから見下す。
となると話は別です。
能力や行動の評価と、人としての尊厳は別のものです。
ここを分けて考えられる人は、誰に対しても態度が安定しています。
リスペクトは甘やかすことではない
相手の権利や尊厳を認めるというと、
「相手の言動をただ受け入れる」と思われがちです。
しかし、それは少し違います。
評価が悪ければ、厳しいことを言わなければなりません。
成果不足を指摘したり、無理な要求を断ることもあるでしょう。
場合によっては異動や退職を勧める判断も必要になります。
それは決してリスペクトがないからではありません。
むしろ相手を一人前の人間として扱っているからこそ、耳の痛いことも伝えるべきです。
大切なのは、
「成果が悪い」
という評価と、
「価値のない人間だ」
という”人格否定”を混同しないことです。
リスペクトとは、厳しい評価をしないことではありません。
厳しい評価をしても、人格や尊厳は傷つけないということです。
リスペクトは上から始まる
もちろん、リスペクトだけで利益が出るわけではありません。
戦略も必要。
商品力も必要。
営業力も必要です。
しかし、リスペクトはそれらを支える土台です。
そして、リスペクトのある組織は自然には生まれません。
経営者やリーダーが率先して示す必要があります。
部下への接し方。
取引先への接し方。
現場スタッフへの接し方。
そうした日々の行動を、組織のメンバーはよく見ています。
経営者が人を見下せば、その文化は組織全体に広がります。
逆に、経営者が立場に関係なく相手を尊重すれば、その姿勢も組織に広がっていきます。
持続可能な組織を作るために必要なのは、立派な理念よりも、まずは目の前の相手へのリスペクトです。
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