コラム:AI時代の「ガベッジイン、ガベッジアウト」

「AIに聞いてみたけれど、思ったほど役に立たなかった」

そんな経験はないでしょうか。

あるいは逆に、

「AIがそう言っているのだから正しいだろう」

と、そのまま答えを受け入れていないでしょうか。

実は、どちらも同じ問題を抱えています。

それはAIの性能の問題ではなく、
私たち利用者の問題です。

 

データ品質より重要なもの

データ分析の世界には、

「ガベッジイン・ガベッジアウト」

という言葉があります。

質の悪いデータを入力すれば、
質の悪い結果しか得られないという意味です。

AI時代になっても、元データの品質は重要です。

しかし、生成AIにおいては、さらに重要なものがあります。

それが、

「ガベッジ・クエスチョン、ガベッジ・アンサー」

です。

質の低い問いには、
質の低い答えしか返ってきません。

AIは非常に優秀です。
しかし、聞かれたことにしか答えられません。

例えば、

「売上を上げる方法を教えてください」

と聞けば、一般論が返ってきます。

一方で、

「従業員10名のBtoB企業で、新規開拓が弱い。
3年後に売上を2倍にしたい場合、最優先で取り組むべきことは何か」

と聞けば、答えは大きく変わります。

同じAIです。
しかし、違うのは問いです。

AI活用の差は、AIの性能差ではなく、
問いの質の差によって生まれます。

 

問いの質とは?

私は、問いの質には
二つの要素があると思っています。

一つ目は、

俯瞰的・構造的に物事を捉えてから問う

です。

目の前の問題だけを見るのではなく、
まず全体像を理解する。

その上で、

「本当に重要なポイントはどこか」

を探るために深堀りの問いを立てる。

例えば、

「売上が伸びない」

という問題があったとします。

質問力が低いと、

「どうやったら売上が上がりますか」

となります。

一方で質問力が高い人は、

  • 新規顧客が少ないのか
  • リピート率が低いのか
  • 単価が低いのか
  • 商品力に問題があるのか

と構造的に分解します。

そして、本当のボトルネックを見つけようとします。

 

二つ目は、

原理原則で考える

です。

AIの回答はもっともらしい。

しかし、正しいとは限りません。

だからこそ、

「その答えは本当に妥当なのか?」
を評価する力が必要になります。

ビジネスであれば、
会計、マーケティング、人事管理 など
各々について、普遍的な原理原則というものがあります。

こうした判断軸を持っていれば、AIの答えを鵜呑みにせずに済みます。

逆に、原理原則を持たなければ、AIの答えを信じるしかありません。

これは非常に危険なことです。

 

質問力の鍛え方

質問力は特別な才能ではありません。

まずは、答えを急がないことです。

「どうするか」の前に、

「何が問題なのか」

を考える習慣を持つことです。

次に、物事を構造化して考える。

問題が起きたら、

「原因は何か」

「他に影響している要素はないか」

と分解してみる。

そして、

「なぜ」を繰り返す。

表面的な現象ではなく、本質的な原因を探る癖をつける。

さらに、自分の専門分野の原理原則を学び続けることも重要です。

経営だけでなく、
システム、経済、科学、歴史など
どの分野にも普遍的な考え方・法則があります。

それらを理解するほど、問いの質も、
AIの活用力も高まっていきます。

 

AI時代に価値を持つ人

これまでは、知識を持っている人が強い時代でした。

しかしAIによって、知識そのものは誰でも簡単に手に入るようになりました。

これから差がつくのは、

「何を知っているか」ではなく、

「何を問えるか」

です。

AIは優秀な回答者です。

しかし、何を問うべきかまでは教えてくれません。

AI時代に最も価値を持つのは、
答えを知っている人ではなく、
本質を見抜く問いを立てられる人です。

 

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