
私は、「普通は」と言う人が好きではありません。
「普通は、こうするでしょう」
「普通に考えれば、分かるでしょう」
そんな言葉を聞くと、身構えてしまいます。
普通って、誰の普通?
「私はこう思う」と言えばいいのに、なぜ「普通は」と言うのか。
「普通」を盾にして、
自分の考えを押し付けてくる。そんな気がするのです。
自覚的な人もいますが、
自分が本当に普通だと信じていて、悪気ない人の方が多い。
私は、「普通シンドローム」と呼んでいます。
(文末に、「普通シンドローム」のリストを載せています)
さらに、この言葉には、
単なる押し付け以上の問題があると思っています。
「普通は」が、自分の思考を止める
一つ目の問題は、言った本人の思考停止です。
「普通は、こうするものだ」
そう考えた瞬間、「なぜ?」「ほかに方法は?」という問いが消えます。
これまでそうしてきた。みんなそうしている。だから正しい。
多数派であることと、正しいことは別なはずです。
例えば、「普通は毎日会社に出勤するものだ」。
出勤することが目的でしょうか。
仕事の成果を出すことが目的ではないでしょうか。
普通を疑えば、別の方法が見えてきます。
イノベーションの多くも、普通を疑うことから始まります。
商品は買って所有するもの。
この仕事は専門家しかできない。
そんな常識を疑うことで、新しいサービスが生まれてきました。
「普通だから」、で考えるのをやめれば、
新しい可能性も消えてしまいます。
「普通は」が、相手を黙らせる
二つ目は、相手に思考停止を求めることです。
「普通は、こうするでしょう」
こう言われると、反論する側が非常識な人になってしまいます。
上司と部下、先輩と後輩といった関係では、その圧力は強くなります。
相手が本当に思考停止するとは限りません。
「それは違うのでは?」
「もっとよい方法があるのでは?」
そう思っていても、口に出さない人もいます。
「この人に何を言っても無駄だ」
「この人に反論してもいいことはない」
そう思われたら、議論は終わりです。
言った本人は、相手が納得したと思っている。相手は黙っているだけ。
しかし、沈黙は、納得ではありません。
これが繰り返されると、
誰も異論を言わなくなります。
考えていない組織ではなく、
考えていることを”言わない”組織になる。
私は、これが一番怖いことだと思います。
もちろん、「普通」にも価値がある
普通や常識が悪いわけではありません。
社会には欠かせないものです。
電車では順番に乗る。
約束の時間を守る。
挨拶をする。
共通の常識があるからこそ、
毎回説明したり、
合意を取り直したりせずに済みます。
会社でも同じです。
仕事の進め方についての共通認識があれば、
一から考えなくても、一定の品質で仕事ができます。
普通や常識は、
社会や組織を動かすコストを下げています。
私自身も、大抵のことは普通に従っています。
何から何まで疑っていたら、疲れてしまいます。
普通を説明できるか?
普通は、
ある環境下で、効率的に物事を行うために
ルール化または習慣化した
ものが大半です。
当時は合理的だったはずです。
しかし、環境が変われば非合理になります。
それでも「昔からそうしているから」という理由で、続けられることがあります。
手段であるはずの「普通」が、目的になってしまっている。
大切なのは、
普通の理由を説明できるかどうか。
「なぜ、そうする必要があるのか?」
「普通だから」ではなく、理由を説明できるか。
その理由が通用しなくなったら、考えを変えられるか。
普通を疑うことは、普通を否定することではありません。
あなたの「普通シンドローム」は?
私自身も「普通は」と言いがちです。
自分の経験や成功体験から生まれた考えは、自分にとっては当たり前。
自分の普通には気づきにくいものです。
こんなセリフを無自覚に使っていたら、あなたも要注意です。
普通シンドロームのセリフ集
– 「普通は、こうするでしょう」
– 「そんなの常識でしょう」
– 「一般的には、こうですよ」
– 「日本人なら、そういうことはしない」
– 「アメリカでは、これが当たり前ですよ」
– 「うちの会社では、こうすることになっている」
– 「この業界では、これが常識だから」
– 「コンサルというものは、こうあるべきだ」
– 「経営者なら、当然こう考えるでしょう」
– 「昔から、こうやってきたんだから」
– 「みんな、そうしているよ」
– 「そんなこと、いちいち説明しなきゃいけないの?」
– 「子供は親のいう事をきくべきだ」
さて、あなたはどうでしょうか?
「普通は」と言う人が好きではない私ですが、
自分自身も気をつけたいと思います。
何しろ、普通シンドロームは、
自分ではなかなか気づけないからです。
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