コラム:ちゃんと手を打っているのに、なぜか後手に回る。~「戦略的に考える」ということ

最近、いろいろな経営者やマネージャーの方とお会いしています。

話を聞いていて感じるのは、
皆さん、とても真面目で、真っすぐです。

売上を増やしたい。
だから営業を増やす。

人が足りない。
だから採用を強化する。

社員にもっと動いてほしい。
だから研修をする。

業務を効率化したい。
だからシステムを入れる。

目標に向かって、実直に頑張っています。

 

しかし、それでも、
思うような成果につながらいこともある。

営業を増やしたら、現場が疲弊した。
人を採ったら、教育が追いつかなくなった。
新しい仕組みを入れたら、現場が使ってくれなかった。

問題が起きる。
対策する。
すると、また別の問題が起きる。

ちゃんと手を打っているのに、
なぜかいつも後手に回る。

 

必要なのは、
目の前の問題にすぐ反応することではなく、
もう少し「戦略的」に考えることです。

 

目標に向かって、真っすぐ行かない

「戦略的」というと、経営戦略や市場分析のような難しい話を想像しがちです。

でも、必ずしもそうではありません。

もっと、現場に即したものです。

そして、一見、逆張りに見えるようなこともあります。

たとえば、

・売上を増やしたいから、営業を減らす。
・採用を増やしたいから、応募者を減らす。
・社員を動かしたいから、あえて何も指示しない。

一見すると、目標とは逆のことをやっています。

でも、単なる逆張りではありません。

数手先まで読んだ結果、
その一手があとで効いてくると考えているのです。

将棋やチェスでも、
今すぐ相手を攻めるためではなく、
数手後に効いてくる場所に駒を置く。

それと同じです。

目の前の成果だけを追うのではなく、

数手先を読み、あとで効いてくるところに、
先手を打っておく。

これを「戦略的」といいいます。

 

まず、盤面を見る

たとえば、営業部門の売上が伸びない。

普通なら、

「もっと訪問しよう」
「提案件数を増やそう」

となります。

でも、すぐに動く前に、一度盤面を見ます。

・なぜ顧客は買うのか。
・誰が顧客の意思決定に影響しているのか。
・営業担当者は何に時間を使っているのか。
・売れた案件と売れなかった案件は何が違うのか。

「何を頑張るか」ではなく、
「このゲームはどう動いているのか」を見る。

そして、

「どこを動かせば、全体が動くのか」

を考えます。

10人の営業担当者にもっと頑張らせるより、
提案方法を一つ変えた方が効くこともあります。

100人の社員に新しい方針を説明するより、
影響力のある数人を先に巻き込んだ方が早いこともあります。

顧客を直接説得するより、
顧客が信頼している人を味方につける方が効果的な場合もあります。

真正面から押すだけではなく、

「ここを押せば、あそこが動く」

というレバレッジポイントを探す。

これが、マネージャーに必要な視点です。

 

相手の次の手を考える

ビジネスは一人でやるゲームではありません。

こちらが何かをすれば、相手も反応します。

・値上げすれば、顧客が反応する。
・新商品を出せば、競合が反応する。
・新しい制度を入れれば、社員が反応する。

ところが施策を考えるとき、
「自分たちが何をするか」だけで話が終わってしまうことは少なくありません。

大切なのは、その次です。

「こちらがこうしたら、相手はどう動くか」

そして、

「相手がそう動いたら、自分は次にどうするか」

まで考える。

未来を正確に当てる必要はありません。

一手先、できれば二手先まで考えるだけで、
今打つべき手は変わります。

 

あとで効くところに、今仕込む

数手先が見えてくると、今やるべきことも変わります。

半年後に重要なプロジェクトを始めたい。
だったら、今のうちからキーパーソンと話しておく。

来年、商品を値上げしたい。
だったら、その前に顧客が感じる価値を高めておく。

数年後に新しい事業を始めたい。
だったら、今からその領域の人たちとの関係を作っておく。

今すぐには何の成果にもならない。

周囲から見れば、

「なんで今、そんなことをやっているの?」

と映ることもあります。

でも、
自分には数手先とのつながりが見えている。

そして半年後、

「あのとき、やっておいてよかった」

となる。

これが布石です。

 

さらに布石には、自分の道を作るだけではなく、

相手の道を先にふさいでおく

という使い方もあります。

競合が狙いそうな顧客との関係を先に深めておく。

プロジェクトに反対しそうな人を、企画段階から巻き込んでおく。

将来取り合いになりそうな人材やパートナーと、早めに関係を作っておく。

相手が動いてから対抗するのではありません。

相手が動く頃には、こちらに有利な盤面を作っておく。

これも戦略です。

 

Plan Bも、今から作っておく

もちろん、読みが外れることもあります。

だからPlan Bも考えておきます。

ただし、

「ダメだったら、そのとき考えよう」では遅い。

AがうまくいかなかったときにBへ行けるよう、今からBへの道も作っておく。

未来を正確に当てる必要はありません。

外れても次の手がある状態を作っておく。

これも戦略です。

 

マネージャーは、少し企んでもいい

現場では、目の前の仕事をきちんとやることが重要です。

でも、マネージャーまで目の前だけを見ていたら、
組織はいつも後手に回ります。

一段高いところから盤面を見る。

数手先を読む。

あとで効くところに駒を置く。

先に味方を作る。
ときには相手の道をふさぐ。
そして、読みが外れたときの次の手も用意しておく。

問題が起きてから対応するのではなく、
問題が起きる前に、自分たちに有利な盤面を作っていく。

これが「戦略的に考える」ということです。

マネージャーたるもの、
真面目に正面突破するだけでは少し物足りない。

もう少し先を見て、
少しくらい企んでみてもいいのではないでしょうか。

 

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