
営業・提案時には親身だったベンダーから、
契約した途端、
「XXは当社の責任範囲外です」などと言われた。
最近、複数のクライアントで、同じような話を伺いました。
システムの導入のため、複数のベンダーに提案を依頼した。
その中から、
「この会社は経験が豊富そうだ。」
「こちらの状況をよく理解してくれている。」
「この担当者なら安心して任せられそうだ。」
という1社を選定した。
ところがプロジェクトが始まると、
提案時の担当者はほとんど姿を見せず、
新たにアサインされたPMからは、
「要件はお客様で決めてください。」
「私たちは決まった内容を設定する立場です。」
といった杓子定規で距離感のある説明を受ける。
もちろん、業務を最終的に決めるのはユーザー企業です。
しかし、「提案の時に期待していた支援と何か違う」と感じてしまいます。
提案の時に好印象を抱いた
”あの”担当者はもう来てくれないのだろうか?
これは特定の会社の話ではなく、
業界全体でよく見かける光景です。
IT業界だけではない
実は、この構図はシステム導入に限った話ではありません。
住宅建築でも、契約前は営業担当が親身に相談に乗ってくれたのに、
契約後は現場担当へ引き継がれ、
「それは契約範囲外です」と言われることがあります。
コンサルティングや士業でも、
契約前後で担当者や対応が変わり、戸惑うケースがあります。
つまり、これは
「営業部門から実行部門へ引き継ぐ」あらゆる業界で起こり得る問題です。
原因は「人」ではなく「組織」
私は、この問題は担当者個人の姿勢ではなく、
組織の仕組みに原因があると思っています。
① 営業と導入が組織として分かれている
営業は契約まで、導入担当は契約後。
担当が変われば、
考え方や価値観が変わるのも無理はありません。
お客様から見れば一つの会社でも、
社内では別々の組織として動いていることが少なくありません。
② 組織ごとのミッションやKPIが違う
営業は売上を伸ばすことが評価されます。
一方、導入部門は利益を確保し、
プロジェクトを無事完了させることが評価されます。
営業は「もっと支援したい」と考え、
導入は「契約範囲を守りたい」と考える。
評価指標が違えば、行動が変わるのは自然なことです。
③ 提供プロセスや役割分担が標準化されていない
「どこまで自社の範囲で、どこからお客様の作業範囲なのか」
「どんなステップで作業を進めるのか」
「どんな成果物を作るのか」
こうしたルールが曖昧な会社は思った以上に多くあります。
担当者によって対応が変われば、
お客様は「話が違う」と感じます。
④ 部門間のコミュニケーション不足
提案時にどんな議論をし、
お客様が何を期待して契約したのか。
その情報が十分に共有されないまま
導入が始まることも少なくありません。
営業から導入への引き継ぎが形式的になれば、
お客様との認識にもズレが生まれてしまいます。
「決める」のと「考える」のは違う
もちろん、
最終的な意思決定は導入主体である
ユーザー企業が行うべきです。
しかし、
「決めるのはお客様」
と
「考えるのもお客様」
は違います。
企業が経験豊富なベンダーを選ぶ理由は、
設定作業をお願いしたいからではありません。
他社事例や業界の知見をもとに、
選択肢を整理し、推奨案を示してほしいからです。
「一般的にはこういう方法があります。」
「御社ならこちらをお勧めします。」
その上で、
「最終的にはご判断ください。」
と言われれば、多くのお客様は納得できるはずです。
解決策は「仕組み」と「共通のマインド」
私は、この問題は担当者任せでは
解決しないと思っています。
必要なのは、営業から導入までを
一つのサービス提供プロセスとして設計することです。
営業が約束したこと、お客様が期待していること、
導入で支援すべきことを標準化し、部門を超えて共有する。
そして、営業もPMもSEも、
「自分たち仕事は顧客課題の解決」
という共通のマインドを、
会社として徹底することです。
キレイごとに聞こえるかもしれませんが、
これができていないビジネスは継続しません。
役割は違っても、目指すゴールは同じです。
部門最適ではなく、顧客最適。
担当者任せではなく、仕組みで品質をつくる。
これこそが、選ばれ続ける会社の条件ではないでしょうか。
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