
あなたの身の周りに、人に頼むのが苦手な人はいないでしょうか。
仕事をたくさん抱えているのに、周囲に助けを求めない。
部下に任せればよい仕事まで、自分でやってしまう。
ちょっとした依頼でもためらってしまう。
実は、私自身にもそういうところがあります。
一方で、人に頼むのが実に上手な人もいます。
周囲に協力を求めたり、面談を申し込んだり。
ごく自然に人を巻き込んで、物事を前に進めていきます。
この違いは、どこから生まれるのでしょうか。
なぜ、人に頼むのは難しいのか
人に頼むことをためらうのには、いくつか理由がありそうです。
① 相手に迷惑をかけたくない
忙しい相手の時間や労力を使うことに申し訳なさを感じる。
② 嫌われたくない、断られたくない
依頼して嫌な顔をされたり、関係が悪くなったりするのが怖い。
断られることにも抵抗がある。
③ 頼み方が分からない
何をどこまで説明すればよいのか。
質問されたら答えられるだろうか。
依頼すること自体が負担。
④ 自分でやった方が早い、確実だ
説明や確認に時間をかけるくらいなら、自分でやってしまおう。
そう考えて仕事を抱え込む。
⑤ 自分でやるべきだという責任感
自分が引き受けた仕事は、自分でやるべき。
人に任せることは、責任の押し付けと感じる。
頼めない人の頭の中
こうした理由の奥には、共通する心理があるように思います。
相手のことを一人で考えすぎている
「きっと忙しいだろう」
「嫌がられるかもしれない」
「期待どおりにやってもらえないかもしれない」
まだ頼んでもいないのに、
相手の気持ちから仕事の結果まで、
一人で想像してしまいます。
2008年に発表された米国の心理学の研究では、
人は他人に助けを求める際、
相手が応じる可能性を実際より低く見積もる傾向が示されています。
相手を思いやっているつもりでも、
実は相手の気持ちを自分の想像で決めつけているのかもしれません。
頼む前にすべてを解決しようとする
誰に、何を、どう頼むか。
質問されたらどう答えるか。
期待どおりに進まなかったらどうするか。
すべてを準備してから頼もうとすれば、
依頼すること自体が大仕事になります。
しかし、
本来は相手の知識や経験を借りたいからこそ、頼むわけです。
自分がすべてを理解しておく必要はないはずです。
自分でやる方が安心できる
自分でやれば、断られることも、
説明に苦労することも、
期待と違う結果に悩むこともありません。
短期的には心理的な負担が軽くなります。
しかし、その繰り返しが、
人に任せる経験を遠ざけ、
ますます頼みにくくしてしまいます。
頼める人の頭の中
では、人に頼むのが上手な人は、何が違うのでしょうか。
① 「ダメもと」
「忙しいかもしれないけれど、聞いてみよう」。
断られても、自分が否定されたとは考えません。
頼むことと、引き受けてもらうことを分けて考えています。
② 相手にもメリットがある
面談の申し込みも、「相手の時間を奪う」と考えるか、
「相手に役立つ情報を提供できるかもしれない」
と考えるかで、心理的な負担は変わります。
仕事を任せることも、
相手の経験や成長につながる場合があります。
③ すべてを自分で決めようとしない
依頼する時点で、すべての答えを用意しません。
「どう進めるのがよいでしょうか」と、
相手と相談しながら決めていきます。
依頼は、スタートポイントと考えます。
④ 断られたら、調整すればよい
相手が忙しければ、期限や優先順位を調整する。
難しければ、別の方法を考える。
断られることを失敗ではなく、
次の判断に必要な情報と考えます。
⑤ 全体視点
自分でできる仕事でも、自分が最適な担当者とは限りません。
誰がやるのが最もよいかを考え、周囲の力を活かそうとします。
自分と相手という関係式ではなく、
課題と適任者という関係式で考えます。
依頼でなく、相談
人に頼むことをためらうのは、
相手への配慮や責任感があるからでもあります。
しかし、実際の相手の気持ちや都合は分かりません。
実は、頼まれて嬉しいかもしれないし、
必要性を説明し、負担や優先順位などを調整すれば
受け入れられるかもしれません。
極論、”言い方”次第という部分もあります。
まずは、人に頼むことを、
一方的な「依頼」ではなく、
相手との「相談」と捉えてみる。
そう考えれば、すべてを事前に準備する必要も、
相手の反応を先回りして心配する必要もなくなります。
頼み上手は、仕事上手。
何でも自分で抱えるのではなく、
周囲の力を借りながら仕事を前に進められる人ということです。
人に頼むのが苦手な人は
「お願いできますか」ではなく、
「ちょっと相談したいのですが」
と声をかけるところから始めてみては。
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