コラム:「仕事のやり方」を見直す、本当の意味

「業務を見直すって、具体的に何をすることですか?」

最近、ある方からと聞かれました。

長年、業務改革やシステム導入に携わってきました。

しかし、改めて聞かれると、意外に説明が難しい言葉です。

私たちは普段、さまざまな仕事をしています。

その仕事を、誰が、どのような手順で、どう連携して進めるのか。

こうした「仕事のやり方」を、会社全体の仕組みとして捉えたものが「業務」です。

会社の経営には、戦略、商品・サービス、人・組織、お金など、さまざまな要素があります。

「業務」は、その重要な要素の一つです。

業務は、商品やサービスの価値を顧客に届けるための仕組みです。

そして、安定的・継続的に成果を生み出す役割を担っています。

 

「業務を見直す」とは、何を変えることなのか?

業務見直しというと、無駄な作業を減らす、システムで自動化するといったことを思い浮かべるかもしれません。

しかし、見直しの概念はもっと幅広いものです。

① 業務の流れを変える
何段階もある承認を簡素化する。
部署間で何度も受け渡していた情報を、一度で済むようにする。

② 担当者や担当部署を変える、外注する
営業担当者の事務作業を専門部署に集約する。
社内の仕事を外部の専門会社に任せる。

③ 業務そのものをなくす
誰も活用していない報告書の作成をやめる。
長年続けてきた会議を廃止する。

④ 新しい業務を作る
顧客の声を継続的に収集する。
納品後のフォローを新たに始める。

このように、
業務見直しは単なる効率化ではありません。

仕事の進め方や担い手を変えること。

ときには、仕事そのものをなくしたり、新しく作ったりすることなのです。

 

改善できない業務は存在しない

では、どの業務を見直すべきなのでしょうか。

改善の余地がまったくない業務は存在しません。

しかし、問題が表面化しているとは限りません。

優秀な担当者が経験や工夫で問題を吸収していることもあります。

長年の慣習を、誰も疑っていない場合もあります。

ある会社のシステム導入で業務を確認していると、思いがけない発見がありました。

「そんなことをしていたの?」「そんなマクロがあったの?」

日常的に仕事が回っているからといって、改善の余地がないわけではありません。

 

しかし、
改善できることと、改善すべきことは違います。

すべての業務を見直すには、膨大な時間と費用がかかります。

だからこそ、何を優先するかが重要になります。

 

業務見直し5つの目的

業務見直しの目的は、大きく5つに整理できると考えています。

① 個人負荷の解消
特定の社員への仕事の集中や、長時間労働を解消する。

② 属人化の解消
「あの人しかわからない」「あの人が休むと仕事が止まる」という状態を解消する。

③ 業務コストの削減
重複作業や手戻りを減らす。
少ない時間や費用で成果を生み出す。

④ 顧客満足・サービス品質の向上
ミスの削減、納期短縮、顧客対応の迅速化などによって、サービスの価値を高める。

⑤ 売上の拡大
受注処理能力を高める。営業担当者の顧客対応時間を増やすなど、売上を生み出す力を強化する。

難しいのは、
これらの目的が必ずしも一致しないことです。

例えば、顧客ごとの個別対応はコスト面では非効率です。

しかし、それが顧客満足を高め、競争力の源泉になっている場合もあります。

何を優先するかによって、
望ましい業務の姿は変わる
のです。

 

本質的な業務見直しは、経営者の仕事

現場の社員は、日々の仕事を最もよく知っています。

無駄な作業を減らし、仕事を効率化するには、現場の知恵が欠かせません。

しかし、
ある部署の仕事を別の部署に移す。
長年続けてきた仕事を廃止する。
新しいサービスのために業務を作る。

こうした判断は、現場だけでは難しいものです。

さらに、
コスト削減を優先するのか。
顧客満足を優先するのか。
将来の売上拡大に備えるのか。

それによって、判断は変わります。

そこには、会社として何を目指すのかという
経営判断が必要です。

現場は、今の仕事をより良くすることができる。

しかし、どの仕事を変え、何を優先するかを決めるのは、経営の役割です。

業務見直しは、単に今ある仕事を効率化する活動ではありません。

会社が安定して成果を生み出し、利益を高めるための取り組みです。

仕事の仕組みそのものを設計し直すことなのです。

その意味で、
本質的な業務見直しは、経営者にしかできない仕事です。

 

 

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