
若手社員とのコミュニケーションが難しい・・
と感じている経営者・マネージャーは思いのほか多いようです。
仕事を頼んでも、期待したところまでやってくれない。
分からなければ聞いてほしいのに、聞いてこない。
それを注意すると、会社に来なくなってしまう。
だから、パワハラは認定されないよう、
優しく話しかけ、仕事の状況を確認している。
自分が若手のころ、上司はそんなことしてくれなかったなあ、などと思いつつ。
コミュニケーションは大切です。
しかし、この問題をコミュニケーションだけで解決しようとするのは、無理筋です。
「早めに相談して」は伝わっているか
例えば、若手社員に資料作成を頼んだ。
「問題がありそうなら早めに相談して」と伝えたのに、締め切り直前になって「間に合いません」と言ってくる。
「早めに相談してと言ったよね」と思うのは当然です。
ただ、上司にとっての「早め」は「少しでも危ないと思った時点」。
若手にとっては「自分では解決できないと分かった時点」だったのかもしれません。
同じ言葉を使っていても、判断基準までは共有されていません。
最近だと、副業のケースもあります。
会社には副業規程があり、事前申請が必要だと書いてある。
それでも、申請せずに副業を始めてしまう。
本人には「副業を始める前に会社の規程を確認する」という発想自体がなかった。
「規則がある」ことと、「必要なときにその規則にたどり着ける」ことは別です。
私たちの「常識」は、いつ身についたのか
会社で働くためには、
実に多くの「前提」を知る必要があります。
就業規則、人事制度、
会社独自の慣習、報告や相談のタイミング、
仕事の進め方、権限、顧客との接し方、
業界の慣習、社会人としての常識。
さらに、
「この会社では何を大切にするのか」
「何をすると評価されるのか」
といった価値観や判断基準もあります。
ベテラン社員は、こうしたことを
長い時間をかけて身につけてきました。
上司に怒られ、先輩を見て、
お客様に指摘され、自分でも失敗する。
そうして20年、30年と積み上げてきたものを、
いつの間にか「常識」と呼ぶようになります。
若手には、その蓄積がありません。
「そんなことも知らないのか」
と思うことはあります。
ただ、自分はそれをいつ、どうやって知ったのか、
振り返って一度考えてみてください。
「最近の若者は目の前ことしか考えていない」
という嘆きもよくききます。
しかし、例えば、初めて訪れた街では、
どこを曲がれば近道なのか、
この先に何があるのかは分かりません。
仕事も同じです。
経験のある上司には、
「ここで確認しないと後で問題になる」
「今、この人に話を通しておいた方がいい」
という先の景色が見えています。
若手には、まだ見えていません。
その状態で
「もっと先を読め」「自分で考えろ」
と言っても限界があります。
「自分で考えろ」の前に
では、もっと丁寧に説明すればよいのか。
会社には膨大な「仕事上の前提」があり、
そのすべてを、上司が都度、口頭で説明するのは不可能です。
ここで私が一つ参考になると思っているのが、
Netflix社の「Context, not Control」という考え方です。
Netflixでは、会議や承認よりも、
各社員が自分で判断して仕事をすることが重視されています。
経営や上司の役割は、判断に必要な背景や情報を与えることとされています。
つまり、
判断のための前提や材料を渡す、
そして任せる。
「自分で考えろ」と言うなら、
何を大切にして考えるのか、
どこまで自分で決めてよいのか、
何を超えたら相談するのか。
その土台を共有しておく必要があります。
この考えは、私たちの仕事にも応用が可能です。
例えば、
休暇にも、「休むこと自体を悪いこととは考えない。ただし、周囲の仕事に支障が出ないようにする」といった会社としての考え方があります。
経費にも、「会社の目的に照らして必要な支出か」という判断の考え方がある。
副業にも、「社員の挑戦は尊重するが、本業への影響や利益相反、情報管理は守る」といった考え方があるでしょう。
その大きな「考え方」があって、
その下に「具体的な規程や手続き」が位置付けられます。
ルールだけを教えるのではなく、
その上にある「この会社ではどう考えるのか」を共有する。
そうすれば、
ルールに書かれていないケースに遭遇しても、
自分で判断しやすくなります。
当たり前じゃないか、
常識だと思われるかもしれません。
しかし、
自分の常識は、他人の常識ではありません。
逆に、会社の考え方を言葉にしてみると、
「何のためにあるのか説明できない」という
謎ルールが見つかることもあります。
全部覚えてもらう必要はない
一方で、具体的な規程や手続きまで、
すべて社員に覚えてもらう必要はありません。
必要なのは、必要なときに取り出せることです。
まず、口頭で何度も説明していることを文章にする。
「前にも言ったよね」が出てきたら、それは言語化の候補です。
あとは、
文章にする
→ 一か所に貯める
→ 検索できるようにする
→ (将来的には)AIに聞けるようにする
という順番です。
コミュニケーションを減らす仕組みをつくる
毎回同じルールを説明する。
「前にも言ったよね」と注意する。
基本的なことを何度も質問してくる。
(しないよりいいですが。。。)
こうした
非生産的なコミュニケーションは、
できるだけ仕組みに置き換える。
その分、今の仕事をどう感じているのか、
何に困っているのか、
これから何をやってみたいのか、
といった話に時間を使う。
コミュニケーションを減らす仕組みをつくる、
それが、
本質的なコミュニケーションを増やす
ことにつながります。
コミュニケーションを大切にするからこそ、
コミュニケーションに頼りすぎない。
これからの会社に必要な仕組みです。
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