
「モノを売るのではなく、顧客の課題を解決しよう」
今や、ビジネスの常識です。
・言われた通りシステムを作る。
・決めた通り広告を運用する。
・指定された人材を提供する。
・既定の業務を代行する。
こうした「モノ売り」から一歩踏み込んで、「なぜ、それが必要なのか」「本当に困っていることは何か」を考える。
その方が提供価値は高くなり、他社との差別化にもつながります。
では、「モノ売り」をやめて、
すべて「課題解決型」に変えていけばいいのでしょうか?
実は、そう単純ではありません。
課題解決型は「優秀な便利屋」になりやすい
課題解決型では、顧客から言われたことをそのまま実行するのではなく、
その背景にある課題を理解し、顧客ごとに解決策を考えます。
「こんなシステムが欲しい」と言われても、本当にそのシステムが必要なのかを考える。
「人が足りない」と言われても、本当に人を増やすことが解決策なのかを考える。
つまり、顧客が求める「手段」ではなく、その先にある「課題」を起点に仕事をするということです。
ただ、実際にやってみると、なかなか大変です。
A社にはA社の事情がある。
B社にはB社の事情がある。
顧客を理解し、原因を考え、その会社に合った解決策をつくる。
誰にでもできる仕事ではありません。
そして、
こういう仕事ができる人には、どんどん相談が集まります。
「これも相談していいですか?」
「実は、こんな問題もありまして……」
気がつけば、
「優秀な便利屋」になっていきます。
お客様から頼られるのは良いことです。
でも、その人にしかできない仕事が増えていく。
売上を2倍にするには、同じように課題を解決できる人も増やさなければなりません。でも、そんな人は簡単には増やせません。
しかも、顧客に深く入るほど、一人が担当できる案件数も減ります。
一社あたりの価値は上がる。
でも、案件数は増やせない。
ここが、課題解決型ビジネスの難しいところです。
「モノ売り」にも価値がある
では、「モノ売り」は本当に捨てるべきものなのでしょうか。
モノ売り型には、課題解決型にはない強みがあります。
たくさんのお客様と接することができることです。
比較的決まった商品やサービスであれば、一社一社に深く入り込まなくても提供できます。
その分、何十社、何百社という顧客と仕事ができます。
すると、同じような話に何度も出会います。
「また、この依頼だ」
「この機能、別のお客様からも頼まれたな」
「最近、この相談がやけに多いな」
一社だけを見ていたら気づかなかったことが、多くの顧客を見ることで見えてきます。
モノ売りには「広さ」がある。
課題解決には「深さ」がある。
どちらか一方が優れている、という話ではありません。
もう一つの「課題『提案』型」
では、この「広さ」と「深さ」を、どうビジネスにつなげればいいのでしょうか。
そこで考えたいのが、
「課題提案型」です。
課題「解決」型では、お客様の課題を聞いて、その会社に合った答えを考えます。
一方、課題「提案」型では、
多くの顧客との仕事から共通する課題を見つけ、
「御社にも、こんな課題があるのではないですか?」
と、こちらから課題を投げかけます。
そして、それに反応したお客様に、
解く課題と解決方法をセットで提示する。
これは、モノ売り型にも、課題解決型にも、一つの突破口になります。
お客様の課題解決を、ある程度誰でも行えるからです。
モノ売り型の会社なら、
日々寄せられる要望を「また同じ注文が来た」で終わらせず、
「そもそも、なぜこれが必要なのだろう?」
と考えてみる。
その背後にある共通課題を見つけられれば、単なる商品や機能の比較から抜け出せます。
モノではなく、「解決する課題」で選ばれる。
それによって付加価値を高め、価格競争から抜け出すことができます。
一方、すでに課題解決型の会社なら、
一社一社の相談を「その会社だけの話」で終わらせない。
複数の案件を横に並べれば、
「結局いつも同じところで困っている」という共通課題が見えてきます。
その課題と解決方法を標準化すれば、毎回、優秀な人がゼロから考える必要はありません。
人に依存した課題解決を、会社の仕組みに変えていく。
そうすることで、ビジネスをスケールさせやすくなります。
つまり課題提案型は、
モノ売り型の企業にとっては、付加価値を高め、価格競争から抜け出す方法。
課題解決型の企業にとっては、属人性を下げ、ビジネスをスケールさせる方法。
となり得ます。
3つを行き来する
ただし、
モノ売り型 → 課題解決型 → 課題提案型
と順番に進めばゴール、という話でもありません。
課題提案型の商品やサービスを広く提供すれば、
そこではまた「モノ売り型」の仕事が生まれ、
新しい顧客課題も見えてきます。
広く見る。
深く掘る
共通する課題を見つける。
そして、また広く届ける。
「モノ売りから、課題解決へ」。
それは間違っていません。
でも、そこで終わりではありません。
モノ売り型、課題解決型、課題提案型。
どれか一つを目指すのではなく、
この3つを行き来する。
この循環をつくることが、顧客への提供価値を高めながら、ビジネスを成長させる方法の一つです。
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