コラム:「KPI」、ちゃんと理解していますか?

4月からの新年度に向けて、
KPIの設定に頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか?

先日、経営企画を担当している知人から、
「来年度のKPIを考えたので見てほしい」と相談を受けました。

見せてもらうと、
売上高、営業利益率、AI案件受注率、生産性改善率、クレーム率……
20近い指標が並んでいました。

一見、しっかり考えられているように見えますよね。

でも、失礼ながら、
「これでは、現場は動けないのでは?」
と思ってしまいました。

さて。
KPIという言葉は、どの会社でも当たり前に使われています。
しかし、KPIの使い方、本当に理解しているでしょうか。

 

KPIは「がんばれ」のサイン

私はKPIとは、
経営者が現場に対して
「今、特に頑張ってほしいこと」を伝える手段
だと考えています。

例えば、

XX領域の売上を伸ばしたい。
だから、XX領域の提案数を増やしてほしい。

利益率を上げたい。
だから、利益率の高い●●商材を売ってほしい。

前半は「ゴール指標(KGI)」と言われるものです。
後半が「プロセス指標(KPI)」です。

ポイントは、
ゴール指標はコントロールできない。
プロセス指標はコントロールできる。
ということです。

だからこそ、現場に渡すべきなのは、
現場が自身でコントロール可能なプロセス指標なのです。

ちなみに、冒頭の事例では、大半がKGIでした。

 

KPIを増やすと、何も伝わらなくなります

KPIが20個並んでいると、
一見、きちんと管理しているように見えます。

でも実際にはどうでしょうか。

現場からすると、
「結局、何を優先すればいいのか分からない」
状態になります。

KPIは「全部大事です」というメッセージではありません。
「今はこれをやってください」というメッセージです。

だからこそ、勇気をもって絞る必要があります。

できれば一つ。
多くても二つまでに絞るのがよいでしょう。

 

では、それ以外はやらなくていいのか?

そんなことはありません。

KPI以外の業務は、
「最低限はしっかりやってください」
というのが大前提です。

すべてを重点管理しようとすると、
すべてが中途半端になります。

だからこそ、
意図的に濃淡をつけることが重要です。

 

経営者はKPIだけ見ればいいのか?

これもよくある疑問です。

結論から言うと、Noです。

経営者は、売上も利益もキャッシュも、
すべての経営指標を見る必要があります。

ここで頭を整理しておきたいのが、

  • KPI=動かすための指標
  • 管理指標=状態を把握するための指標
    (KGIが多くなる)

という違いです。

さらに重要なのは、
「この管理指標を動かしたいから、このKPIを置く」
という因果関係の仮説を持つことです。

例えば、成長を優先するなら、売上が増えると同時に、
一時的に利益率が下がることは許容する、
という判断ができるよう経営指標をモニターすべきです。

 

KPIと現場評価の関係

では、現場をKPIで評価すべきでしょうか。

基本的にはYesです。

ただし、ここにも注意点があります。

KPIが目的化してしまうと、
本来のゴールとズレてしまうことがあるのです。

例えば、

・自分のKPIだけを追い、他部門に協力しなくなる
・KPI達成のために、本来やるべきでないことをやる
・KPIは達成したが、会社全体の業績は悪化する

こうなってしまっては本末転倒です。

そのため、評価は分散させるのが現実的です。

KPI:50%
部門利益:25%
全社利益:25%

このくらいのバランスが、ちょうどよいのではないでしょうか。

※利益と書いたのは、赤字にならないことが最低線という前提です。
もちろん、戦略的な赤字もあり得ますが、目標値は必要です。

 

 KPIは「意思表示」

KPIは難しいものではありません。

「何を測るか」ではなく、
「何をやってほしいか」です。

そして、シンプル is Bestです。

・提案を増やす
・単価を上げる
・リードタイムを短縮する

このレベルでOKです。

むしろ、複雑にしすぎると、
組織は動かなくなります。

新年度のKPIを考えるとき、
自問してみてください。

「結局、今年は何を一番やってほしいのか?」

もしこの答えが一言で言えないとしたら、
KPIの前に考えるべきことがあるはずです。

 

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