コラム:「下請け」脱却戦略 ~リプレイサビリティを下げる

下請けから抜けたい。
多くの中小SIer経営者が、そう考えています。

しかし、逆説的ですが、
下請けであること自体は大きな問題ではない。

本当の問題は、別のところにあります。

 

中小SIerのビジネス構造

中小SIerが置かれている構造は、実はどこも似ています。

・元請や大手SIerへの依存度が高い。
・つまり、人月×単価モデルから抜け出せない。
・技術変化が激しく、技術での差別化は困難。
・採用では、大手に競り負ける。
・さらに、AIによる開発効率化が進み、
これまで強みだった「労働集約型」
の優位性が揺らいでいる。

つまり今、
下請け」というビジネスモデル」
そのものが、行き詰まりつつある
のです。

 

問題は「下請け」ではない

経営者の方々からは、こんな言葉を耳にします。

「下請けは儲からない」
「いつまでも下請けではダメだ」
「直請けに行かないと将来がない」

確かに、その通りです。

しかし問題は、
下請けという「契約形態」ではありません。

本当の問題は、
下請けでしか生きられない状態に
固定されているということ
です。

その状態を、別の言葉で言い換えると、
リプレーサビリティ(代替可能性)が高い
ということです。

 

発注者の目線

発注者は、常に冷静です。
最終的には、合理で判断します。

・その会社でなければ、本当に困るのか。
・もっと安くてスキルの高い会社に置き換えられないか。
・明日いなくなっても、プロジェクトは回るのではないか。

これらの問いに、
発注者自身が「問題ない」と答えられてしまう。

この瞬間、
価格決定権も、条件交渉権も、主導権も、
発注者が握ります。

だとすると、解決のポイントはただ一つです。
リプレーサビリティを下げること。

これが、下請け脱却の本質です。

では、どうすればいいのでしょうか。
現実的に取り得る戦略を、整理します。

 

中小SIerが現実的に取り得る戦略

 戦略パターン① 自社プロダクト

最もよく語られる戦略です。
「自社プロダクトを持てば、
下請けから抜けられる」

理屈は正しいです。
しかし、現実は甘くありません。

システム開発スキル以外の要素が求められます。
営業、マーケ、サポート体制なども必要です。
売れない期間を耐える資金体力も求められます。

結果として、
プロダクトを作って満足し、
力尽きる企業が後を絶ちません。

自社プロダクトは、有効な手段です。
ただし、安易な近道ではありません。

 

戦略パターン② コンサルシフト

次によく聞くのが、
「上流に行けばいい」
「コンサルになればいい」
という発想です。

確かに、
要件を決める側。
方向性を示す側。
ここに回れれば、立場は変わります。
単価も上がるでしょう。

しかし、現実的には、

思考力が足りない。
言語化が弱い。
経営視点がない。
顧客と対話できない。

エンジニアマインドのままで名乗るコンサルは
最もリプレーサビリティが高い存在。
つまり不必要な存在になります。

ただ、エンジニアの立場で、
業務に踏み込めれば
これは大きな優位性になります。

 

戦略パターン③ スキル集積

ここで、現実的な戦略が出てきます。

・特定ERPの移行。
・特定業界×特定工程。
・特定技術×特定課題。

「何でもできます」は、価値になりません。

一部ケイパビリティを、圧倒的に尖らせる
単一技術スキルではなく、
特定領域における課題解決能力です。

一部の領域の能力を、
「その会社にしか頼めない」
そう言われるレベルまで磨くこと。

特化とは、
やらないことを選ぶことでもあります。
勇気がいります。

しかし、
これは確実にリプレーサビリティを下げます。

 

戦略パターン④ 顧客分散

下請けから抜けられない会社には、
明確な共通点があります。

顧客が偏っています。

売上の大半を1社に依存している。
仕事を断れない。
単価交渉ができない。

顧客分散は、
単なる保険ではありません。

精神的な余裕を生みます。
交渉力を生みます。
立場を変える力になります。

これを実現するには、目先の収益に囚われない
胆力と戦略的な顧客開拓アプローチが必要です。

 

 戦略パターン⑤ 下請けレイヤーの引き上げ

いきなり直請けは難しくても、
二次から一次へ。
一次から直請けへ。
段階的に上げることは可能です。

しかし、
技術力だけでは、レイヤーは上がりません。

「発信」が必要です。
ブランディングです。
マーケティングです。
「選ばれる理由」を見える形にすることです。

技術があっても、
知られていなければ、存在しないのと同じです。

 

下請け脱却とは「構造転換」である

下請け脱却は、
スローガンでも、気合でもありません。

何を捨てるのか。
どこに集中するのか。
どんな状態を目指すのか。

これは、構造転換の話です。

下請けであることが問題なのではありません。
下請けでしか生きられない状態を放置すること。
それこそが、最大の経営リスクです。

そして、これを転換する判断ができるのは、
経営者だけです。

 

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