コラム:AI導入で失敗する会社の「たった1つの勘違い」

あれだけAIを入れたのに、「生産性」が上がらない・・・・・
いま、企業からのこんな声が増えてきています。

生産性は、企業にとって“最重要のゴール”のひとつです。

利益を生み、投資を回し、事業を継続させる力そのものです。

しかし、AIを使っても通りの成果が出ない企業が続出しています。

そこには、ある共通した「勘違い」があります。

あなたの会社は、その罠にハマっていませんか?

 

生産性の本質は「時短」ではなく「利益」

まず押さえるべきは、生産性の本質です。

生産性とは、単なる作業の効率化のことではありません。

「投入した費用」に対して、
どれだけ「収益」を生み出せたか。

これが、生産性の大原則です。

  • 議事録が自動化されても、
  • 資料が数秒でできても、
  • 問い合わせがAIで返っても、

企業全体の利益が増えなければ、
生産性が上がったとは言いません。

ここを勘違いすると、
「AIで時短できた=生産性がアップした」
という誤った解釈に陥ります。

 

『ザ・ゴール』に登場する“ボトルネックの法則”

ここで、世界的ベストセラー『ザ・ゴール』の話をしたいと思います。

この本では、工場の生産性に関わる問題の本質は
工程毎の効率ではなく、ボトルネック工程の存在だと説いています。

どれだけ優秀な工程があっても、
どれだけ一部が高速化されても、

全体の生産量(スループット)
一番遅い工程の処理能力に依存する。

AI導入についても、考え方はまったく同じです。

現場の一部を高速化しても、
組織全体のボトルネックがそのままなら、
生産性(利益率)はまったく上がりません。

 

部分最適の罠:進んでいるようで進んでいない

AI導入でよく起こる失敗は、
まさにこの“部分最適”です。

  • AIで議事録が爆速になる。
  • AIで営業資料が数分で仕上がる。
  • AIで問い合わせ対応が自動化される。
  • AIで紙書類を簡単に電子化できる。

 

しかし…後工程の

  • 契約処理が遅い
  • 承認フローが複雑
  • 営業プロセスが旧来のまま
  • 意思決定が遅い

こうした“ボトルネック”が残ったままだと、
どれだけ周辺が速くなっても、AIの成果はゼロなのです。

 

 生産性を本当に上げる方法

では、生産性を上げるにはどうすればいいのか。

答えはシンプルです。

ボトルネックにAIを入れる。
これだけです。

  • 営業なのか。
  • 契約なのか。
  • バックオフィスなのか。
  • 認可・承認プロセスなのか。
  • 顧客対応なのか。
  • あるいは意思決定そのものか。

企業の業務全体の流れの中で、
「最も目詰まりしている場所」を特定し、
そこにAIを導入する。

これが、スループットを最大化し、
利益を押し上げる一番の方法です。

 

生産性に効くAI活用の3つの方向性

生産性を押し上げるAI活用には、
大きく3つの方向があります。

① 営業そのものを強くするAI活用

売上は、会社の血液です。
よって、営業は会社の“心臓”といえます。
ここが強くなれば、生産性は一気に伸びます。

  • 提案文の自動生成
  • 顧客情報の整理
  • 見込み客の優先度判定
  • 商談トークの最適化
  • AIによる自律営業

AIを使うことで、営業の質と速度
同時に引き上げられます。

 

 ② 商品・サービスそのものを強化する

AIで、商品・サービスの“価値そのもの”
を高めることができます。

  • サービス提供スピードの高速化
  • 顧客個別の最適プラン生成
  • ニーズに刺さるコンテンツ制作
  • 改善アイデアの高速抽出
  • 顧客の課題を解決するAIツール

商品力が上がれば、「単価」も上がります。
つまり、生産性に直結します。

 

 ③ 浮いた時間を“顧客の時間”に再投資する

ここが最大のポイントです。

AIで浮いた時間を、別の雑務に回すのではなく、
顧客との対話に回すべきです。

  • ヒアリング
  • 改善提案
  • アフターフォロー
  • 関係構築

これが売上を伸ばし、利益に跳ね返ります。

顧客と直接接しない後方部門だとしても、フロント部門の業務負荷を軽減することで貢献できます。

 

AIを“全体最適のための道具”とするための手順

最後に最重要ポイントです。

AIは 「点ではなく、線で使う」 です。

そのためには、以下のステップで考えます。

①業務全体の流れを見える化する
②ボトルネックを特定する
③スループットを最大化する位置にAIを置く

この流れを守れば、AIは“便利な道具”から、
“利益を生み出す仕組み”に変わります。

 

AIで生産性を上げるために必要なこと

AIは、便利だし、常に技術革新している。
ゆえに、つい面白さに目を奪われ、
本質を忘れがちになります。

だからこそ、ビジネスで活用する際は、
「AIの目的は、生産性を上げること」という意識を常に念頭に置きたいものです。

 

 

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