「実は、お客さんと話すのが苦手でして…」
「正直言うと、お客さんがちょっと怖いんです…」
製品開発や企画の仕事は好き。でも、お客さんとの打ち合わせや商談になると緊張してうまく話せない。
実は、そんなビジネスパーソンは少なくありません。もしかしたら、あなた自身がそうかもしれません。
特に、営業担当者、コンサルタント、システムエンジニア、士業の方など顧客とのコミュニケーションが商売の中心になる職種にとっては、これは致命的な欠点ともいえます。
でも、ちょっと視点を変えるだけで、その苦手意識はグッと軽くなるかもしれません。今回は、そんな話を書いてみたいと思います。
なぜ「お客さんが怖い」のか?
では、そもそもなぜ「お客さんが怖い」と感じてしまうのでしょうか?
理由を掘り下げてみると、次のような心理的ブレーキが見えてきます。
- お客さんに価値ある話ができないのではないか
- 自分の知識のなさがバレて、怒られるのではないか
- 提案や製品を否定されるのが怖い
- 相手が自分より役職が上だと緊張する
- そもそも人と話すのが苦手
一つでも当てはまるものがある方は、決して少なくないはずです。
そして、お客さんと会話するのをできるだけ避けようとする人もいるのではないでしょうか?
しかし、ここで忘れてはいけない前提があります。
それは、ビジネスはお客さんの課題を解決することを目的としているということです。
お客さんと話すのが怖くて避けてしまっては、肝心の「課題」そのものが見えません。
結果的に、どんなに高機能な製品を作っても、的外れになってしまうのです。
上手くいかない人の多くが陥っているのが、「お客さんにうまく説明しなきゃ」と焦ってしまうことです。または、「買ってもらえるように、必死にアピールしよう」と力が入ってしまう。
それが自信のなさにつながり、お客さんを不安にさせてしまう。結果、商談が上手く行かない。悪循環です。
お客さんは敵ではない
では、どうすれば「お客さんが怖い」という気持ちを乗り越えられるのでしょうか?
必要なのは、マインドチェンジです。
「お客さんは自分を評価する相手」「買うか買わないかを判断する敵」──
そんな認識で向き合っていませんか?
そうではなく、自分を「お客さんの課題を一緒に解決するサポーター」と位置付けることが大切です。
つまり、「自分 vs お客さん」ではなく、
「自分 + お客さん vs 課題」というチーム構造に頭の中を切り替えるのです。
その瞬間、お客さんとの打ち合わせは、お客さんの「課題を聞く場」になります。
「どうやって売り込もう」ではなく、「どうやったらこの人の悩みを解決できるだろうか」と考えるようになります。
そして課題が洗い出せたら、次回以降の打ち合わせは、課題解決策を一緒に考える場になります。
「でも、何を聞いていいかわからない…」
しかし、こんなことを言う人もいるかもしれません。
「お客さんの話を聞けって言われても、何を質問したらいいかわからないんです…」
その理由はひとつ。準備不足です。
もしあなたが「聞きたいことが出てこない」と感じているとしたら、それはお客さんへの興味が足りていない証拠です。
相手が新規のお客さんであっても、ニュースやIR情報、採用ページ、SNSなど、情報源はたくさんあります。
既存のお客さんであっても、経営状況の変化や人事異動など、新しい情報はいくらでもあります。
あなたが営業系の商材を扱っているのであれば、現在の営業プロセスや組織の課題、目指す姿など、聞くべきことは明確なはずです。
準備をしていれば、聞きたいことは自然と浮かんできます。
質問があれば、会話は進みます。
会話が進めば、信頼が生まれます。
参考: 質問の仕方(以前のブログ)
打ち合わせは「質問の場」
打ち合わせは質問の場と心得よ。十分な準備をして、質問会に臨むべし。
質問を通じて、相手の本音や課題を引き出す。
そのうえで、自分たちにできることを考える。
自分の中で、お客さんの位置づけを見直してみませんか。