少し前に、あるクライアントと「差別化」について議論する機会がありました。
このクライアントの製品は、あるシステムツールです。同種のツールと比較すると非常に特徴的で効果も圧倒的に優れています。しかし、顧客にはその優位性が十分に伝わらず、その結果、価格も競合他社の”ツール”と同等に抑えられてしまう状況でした。
そこで、業界に詳しい専門家に意見を求めたところ、グローバル企業が提供する同様のシステムソリューションが、何十倍もの価格で販売されていることが分かりました。この情報を基に、この製品の位置づけを「ツール」から「ソリューション」に変更することにしました。
この変更の結果、これまでアプローチできなかった顧客企業からの問い合わせが増え、製品の価格も引き上げることが起きました。
この事例から学べるのは、いくら「差別化」を図ろうとしても、低価格帯の市場で戦っている限り、その市場に見合った報酬しか得られないということです。むしろ、より上位の市場に位置づけ、自社製品をその市場の一員として「同質化」させることで、より大きな収益を期待できるのです。
つまり、差別化を考える前に、まずどの市場に自社を位置づけるか、その市場のメンバーとして認知されるレベルまで同質化できるかがカギです。真の差別化は、その先にあるといえます。
皆さんも、自社のサービス・製品の位置づけを見直してみたらどうでしょう。