コラム:コンサルタントは、「教えてくれる人」ではないーコンサルタント選びで大切なこと

最近、何人かの方から、コンサルタントの仕事について聞かれました。

「その業界の経験がなくても、コンサルできるんですか?」

「うちの会社のことを知らないのに、何が分かるんですか?」

「コンサルタントって、どうすればいいか教えてくれる人ですよね?」

「私は何もしなくても、全部やってくれるんですよね?」

確かに。

コンサルタントには、
いろいろなことを知っていて、
正解を教えてくれる人
というイメージがあるのかもしれません。

もちろん、知識は必要です。

でも、それだけでもない。

今回は、そんな話です。

 

お客様の方が詳しくていい

私が最初に勤めたコンサルティング会社で、社長から言われたことがあります。

「生産や会計の業務を、お客様に教えるのがわれわれの仕事ではない。業務そのものは、お客様の方がよく知っている」

では、何をするのか。

お客様のビジネスを構造で捉える。

そして、どこに業務の滞留があり、
どこにが歪みがあり、
どこに顧客の不満があるのか
をあぶりだす。

生産現場の仕事なら、そこで毎日働いている人の方が詳しい。

経理の実務なら、経理担当者の方が詳しい。

コンサルタントの役割は、それとは違った視点を提供すること。

この考え方は、今でも私の中に中心にあります。

 

 知識だけでは、本当の答えにならない

とはいえ、知識を提供するコンサルティングを否定するものではありません。

業界動向や専門知識、他社事例。

自分たちで一から調べるより、詳しい人に聞いた方が圧倒的に早い。

外部の専門家を使う大きなメリットです。

ただ、その次があります。

「他社ではこうしています」

なるほど。

では、
うちはどうすればいいのでしょう?

同じ業界でも、顧客は違います。
規模も、強みも、組織も違う。
これまでの経緯も違います。

他社の正解を知ることと、
自社の答えを出すことは別物です。

知識を、自社で使える形に変える。

そこにこそ、コンサルタントの仕事があります。

 

業界を知らないことが、役に立つ?

もちろん、業界知識が必要な仕事もあります。

規制や商慣習など、知らなければ解けない問題もあるでしょう。

一方で、業界が違っても、
経営には共通することがあります。

どうやって顧客を集めるのか。なぜ選ばれるのか。いくらで売るのか。どれだけコストがかかるのか。

会計、営業、組織、業務プロセスなどにも、共通する考え方があります。

他業界のやり方を適用して成功した事例は枚挙がありません。

そして、ときには
「知らないこと」が役に立ちます。

外から来た人は、素朴に聞きます。

「なぜ、こうしているんですか?」

すると、

「昔からそうだから」
「この業界では普通だから」
「別になくても大丈夫です」

という答えが返ってくる。

こういうところが、意外と面白い。

みんなが当たり前だと思っているところに、
変えるべきものが隠れている
ことがあるからです。

 

言われた通りにやるのが、いい仕事?

例えばシステムの仕事。

お客様から「この機能を追加してほしい」と言われ、その通りに作る。

要望には応えています。

でも、本当にその機能は必要なのでしょうか。

業務を変えれば、いらなくなるかもしれません。

お客様が問題だと思っていることが、
本当の問題ではないかもしれない。

「言われたことを実現する」のと、
「問題を解決する」のは違います。

ときには「そもそも、なぜ?」と聞く。

これもコンサルタントの役割です。

 

お客様と同じになってはいけない

逆のケースもあります。

お客様との会議で中心になって話している人が、
てっきりその会社の社員だと思っていたら、
実は外部のコンサルタント
だった。

そんなことがたまにあります。

それだけ深く入り込み、お客様を理解しているとも言えます。

でも、私は少し気になります。

「この会社では昔からこうだから」
「○○さんが嫌がるから」
「この業界ではこういうものだから」

そこまで同じ常識の中に入ってしまったら、外部の人を入れる意味は何だろう、と。

お客様の担当者は不要なんじゃないか、と。

お客様のことは深く理解する。

でも、お客様と同じにはならない。

この距離感は大切だと思います。

 

結局、何をする人なのか

では、コンサルタントは何をする人なのか。

私なりの答えはシンプルです。

お客様の現状を変える人。

そのために、知識を教えることもある。

逆に、お客様から教えてもらうこともある。

話を整理する。

問題を構造で捉える。

「なぜ?」と聞く。

新しい仕組みを考える。

必要なら、導入まで支援する。

ただ、仕事そのものを代わりにやることはしません。

例えば、会計プロセスを作るところまでは支援する。
でも、毎月の会計業務はやらない。

仕事を変えることと、
仕事を回すことは違うからです。

 

では、どうやって選ぶ?

コンサルタントを選ぶとき、業界経験や専門知識は大事です。

でも、それだけでは分かりません。

私は、最初に会ったとき、その人が何を話すかに注目するとよいと思います。

すぐに自分の知識や成功事例を話し始めるのか。

それとも、
「なぜですか?」「本当にそこが問題ですか?」と聞いてくるのか。

そして、

「もしかすると、問題はこっちではないですか?」

と、自分たちとは違う見方を返してくれるのか。

一番分かりやすいのは、

その人と話す前と後で、
問題の見え方が少し変わったか。

です。

「知らないことを教えてもらう」も大切です。

でも、

「そういう見方もあるのか」

「問題だと思っていたのは、違うのかもしれない」

そんなことを一つでも感じたなら、その人ともう少し話してみる価値はありそうです。

コンサルタントの目的は、
知識を教えることではなく、
顧客の現状を変えること。

そのために、
今までとは少し違う見方を持ち込む。

コンサルタントを選ぶときの大切な視点です。

 

 

 

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