コラム:「捨てる」から始める 〜損切りという考え方〜

合わない仕事。
成果の出ない新事業。
改善しない部下。
惰性で続く恋人との関係。
何度受けても受からない資格試験。
下がり続ける金融投資。

「そろそろ辞めたほうがいい」
そう思いながら、
「いつかうまく行くかも」
「きっと改善するに違いない」

手放せないものは誰にでもあります。

頭では分かっていけど、
それでも決断できない。

今回のトピックは、
そんなときに役立つ、
「損切り」という考え方です。

 

なぜ、人は辞/止/断められないのか

やめられないのは、
意志が弱いからではありません。
それには、理由があります。

一つ目は、現状維持バイアス

これは、人間の本能的な特性です。
人は変化を嫌います。
特に、先が見えない状態を避けます。

たとえば、
今の仕事に不満はある。
やりがいも薄れている。
それでも、転職した先で失敗したらどうしようと考えてしまう。
結果として、
「今の不満のほうがマシだ」と判断します。

しかし、選んでいるつもりがなくても、
現状維持という選択をしているのです。

 

二つ目は、代替案の不在

やめたあとにどうなるかが見えないと、
人は動けません。

恋人関係でもよくあります。
関係は冷え切っている。
会話も減っている。
それでも、別れた後の生活が想像できず、
関係を続けてしまう。

仕事でも同じです。
「辞めたい」と思っていても、
次の一歩が描けないと判断は止まります。

 

三つ目は、撤退基準の不在

どこまで行ったらやめるのか。
何が起きたら撤退するのか。
その基準が決まっていません。

新事業でありがちな話です。
「売上が立たなかったら撤退」と決めていない。
気づけば、
「来月こそは」
「あと半年だけ」
と期限が延び続けます。

判断の物差しを持っていないと
やめられないのです。

 

「損切り」とは何か

損切りは、もともと投資の世界の言葉です。
損が出ている資産を売り、
あえて損失を確定させます。

ここで重要なのが、
サンクコスト(埋没費用)です。

すでに使った時間。
支払ったお金。
注いだ労力。
これらを判断の材料にしない、という考え方です。

それでも人は、
「ここまでやったから」
「今やめたら無駄になる」
と考えてしまいます。

仕事でも同じです。
3年関わったプロジェクト。
成果は出ていない。
将来の見通しも立たない。
それでも離れにくい。

しかし、損切りは、
過去を否定する行為ではありません。
未来の選択肢を守るための判断です。

 

損切りのための6つの問い

損切りをすべきかどうか判断するため、
以下の質問を自問してみてください。

① いま、新規でその選択をするか?
今から同じ仕事を頼まれたら、引き受けるか。
次に雇うとしたらその人を雇うか?

② 当初の前提は生きているか?
「半年で黒字になる」
「相手は変わるはず」
その前提は、今も成立しているのか。

③ 時間は味方か?
待てば良くなるのか。
それとも、状況は少しずつ悪くなっているのか。

④ 最悪のケースに耐えられるか?
さらに悪化した場合でも、
精神的にも経済面でも耐えられるか。

⑤ 機会コストは?
そこに縛られて、
他のチャンスを断っていないか。
家族や自分の時間を失っていないか。

⑥ 感情で判断していないか?
「失敗と認めたくない」
「周囲の目が気になる」
感情が判断を支配していないのか。

一つでも「NO」が出るなら、
それは損切りを考えるべき時期でしょう。

 

それでも動けない人へ

それでも、すぐに決断できないことはあります。
分かっていても動けない。
それは、自然な反応です。

そんなときは、
無理に結論を出さなくて構いません。
まずは、判断ではなく観察をします。

① 事実を可視化する

一定期間、
・やったこと
・起きた結果
・終わった後の気分
を書き出します。評価は不要です。

 

② 辛さを言語化する

体力なのか。
人間関係なのか。
将来への不安なのか。
分けるだけで、対処できる部分が見えてきます。

 

③ 少し距離を取る

いきなりやめなくてもいい。
関与を10〜20%下げます。
副業なら稼働日を減らす。
人間関係なら会う頻度を下げる。

 

④ 判断しない期限を決める

「〇月末まで様子を見る」
これは決断の期限ではありません。
判断しない期限です。

観察することで、冷静さを取り戻せます。

 

「捨てる」は前に進むための行為

損切りは、失敗ではありません。
選択肢を取り戻す行為です。

何かを捨てると、
時間と気力に余白が生まれます。
判断も、少し冷静になります。

その余白がなければ、
新しい選択肢は見えてきません。

 

 

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