コラム:「DX化」をしても業務が効率化しない理由

昨今DX(デジタルによる業務変革)という言葉をよく耳にするようになりました。IT企業の広告宣伝では、DX化に成功した企業の事例などが多々紹介されています。しかし、それによって業務が効率化するのか?という点については、筆者は懐疑的です。今回はその理由について書いてみたいと思います。

(私は、DXと昔から存在するIT化は少し異なるものだと考えていますが、今回は敢えてほぼ同義として書き進めます。)

 

DXが業務を効率化しない理由は、
DXの対象が依然「業務処理」に限定されることがほとんどだからです。

・販売: オンライン契約締結、AIによる問い合わせ対応
・マーケティング: オンラインマーケティングの自動化
・会計: 自動仕訳登録、請求書と入金のシステム照合
・生産・物流: AIによる品質検査、無人倉庫
・システム開発:AIによるプログラム作成・テスト実行

といった業務のことです。

これはこれで画期的なことです。しかし、こうした業務は多くの場合、担当者の業務のほんの一部分に過ぎません。場合によっては、外注化していたりすでに省人化してるため、自社の担当者の業務効率化にほとんど寄与しないケースも少なくありません。

それでは、残りの時間、担当者はどんな仕事をしているのでしょうか? 私の経験では、ほとんどの時間は「会議」に費やされています
「会議」には、
・「役員会」「社内定例報告会」「部門間や担当者間の調整会議」「上司や部下との1on1」などの様々な社内会議があります。
・また、「見込み顧客への提案」「顧客や取引先との仕様打ち合わせ」「顧客の役員への案件進捗報告」など、社外の利害関係者との会議もあります。

とはいえ、「会議」の時間は1時間程度、長くても2~3時間程度が一般的であり、そんなに時間を使っているというのは大げさではないか、と思われるかもしれません。しかし準備や会議後のアフターフォローを含めると実に膨大な時間が「会議」に費やされているのです。

具体的には、
・会議アレンジ(出席者・時間・場所等の調整)
・資料作成のための調査や情報収集
・凝った資料の作成
・会議資料作成のための事前検討会議
・会議終了後の議事録作成
・会議で決まった宿題事項への対応
・会議開催待ちによる意思決定・アクションの遅れ

などが挙げられます。
誤解いただきたくないのですが、私は会議が無駄だと言っているのではありません。会議は意思決定に重要な役割を果たしており、経営を前にすすめるために有効活用すべきものです。しかし、会議を効率化したり削減しない限り、いくらDXやIT化を進めても業務は効率化しません。

「会議」には、その会社の文化やビジネスに対する姿勢が凝縮されていいます。形式を重んじる会社、スピードを重んじる会社、集団的コンセンサスが必要な会社、現場への権限移譲が進んだ会社 などです。それはつまり、経営者の考えを鏡写ししているということに他なりません。

ですから、「会議」や「意思決定」のあり方を変え、DXによるビジネス効果を享受できるようにすることは経営者にしかできない仕事なのです。経営者や状況マネージャーの皆さん! DX化と合わせて、「会議」改革を進めてみませんか。

 

 

※尚、私の考えるDXは以前のコラムをご参照ください。

コラム:「DX」って何?~「Amazon化」