仕事をしていると、人と対立する場面というのは少なからずあるものです。同僚、上司と部下、顧客と営業担当者などの関係において、評価や方針の違い、接客態度、取引条件交渉などいろいろな場面が思い浮かぶでしょう。あくまで「仕事」の関係ですから、ビジネスライクに対処できれば理想的ですが、感情的になることも避けられない場合があります。今回は、そうした状況において、対立を最小限に抑える方法について書いてみたいと思います。
基本は、「自分 対 相手」の対立と考えるのではなく、「我々(自分と相手)対 課題」の対立 と考えることです。
例えば、同僚と仕事の進め方を巡って対立した場合、どちらの方法が良いかを争うのではなく、どうすればその「仕事」の目的(=課題解決)を効率的に達成できるかを一緒に考えるのです。仕事の進め方には、早さが求められる場合と精度が求められる場合があり、状況によって取るべき手段は異なります。そのため、議論を課題解決に集中することで、建設的な対話が可能になります。
次に、上司と部下の間で、評価に対する認識が異なるような場合、「部下に能力がない」「上司が理解がない」と相互に非難し合うのは生産的ではありません。
上司には部下を低く評価した理由があり、部下にも自己評価を高くする理由があるでしょう。多くの場合、それぞれが持つゴールイメージの違いが原因であることが多いため、その違いを確認・整合し、評価に至るプロセスや距離感(=課題)を一緒に確認することが必要です。 そうすることで、評価に対する納得感や、今後の評価を高めるための具体的な方法が見えてくるでしょう。
また、顧客と営業担当者の間では、金額や取引条件、サービスの範囲についてキリキリする交渉が存在します。この際「過度な利益を載せた見積もりではないか」「予算を隠しているのではないか」といった疑心暗鬼が生まれることは珍しくありません。 しかし、顧客が自社の商品やサービスを購入しようとするのは、何らかのビジネス課題を解決するためです。そのため、いくら安価であっても課題解決につながらなければ意味がありません。 営業担当者としては、顧客と敵対的関係になるよりも、顧客課題を顧客と共に解決する立場を取ることが信頼醸成の近道といえます。信頼が構築されれば、逆に自社のゴール(売上目標など)を顧客に伝え、それに対する協力を引き出すことも可能になるでしょう。
「我々 対 課題」という考え方は、パワハラが社会問題化している現代において、非常に有効な視点です。パワハラを気にするあまり、お互いに言いたいことを言えず、組織内の風通しが悪くなっているという話は昨今良く聞きます。しかし、しかしこの考え方が身につけば、個人の人格攻撃をせずとも、お互いの改善ポイントを話し合うことができるようになります。非常にパワフルなコミュニケーションツールといえるのではないでしょうか。
一方で、感情的になった相手をこの考えに連れてくるのは容易ではありません。そんな時は言い訳などせず、まず相手の意見をいったん受け止め、少し時間を置くことをおすすめします。 自分が「我々 対 課題」という考え方を身につけておけば、相手の感情的な反応に自分自身が感情的に反応することがなくなり、結果として交渉再開時には、冷静な議論を進めることができるようになります。