経営戦略の教科書には「差別化」が重要だと書かれています。リーダー企業は全方位戦略を展開し、二番手以下の企業は機能やターゲット顧客を絞り込んだり、ビジネスモデルを変えることで差別化を図るべきだ、というセオリーがあります。これは「その通り!」と思う一方で、多くのクライアントと仕事をする中で、もっと基本的で重要な戦略があるのではないかと感じることがあります。今回は、そんな「差別化」について書いてみたいと思います。
ポイントは、差別化戦略云々の前に「やるべきこと」をやっているのか? ということです。
私の以前のクライアントの話です。この会社は派手な広告戦略で有名で、新商品発売時には大量の広告投下で初期販売を伸ばしていました。しかし、売上はすぐに減少するのが常でした。原因は、商品を扱う小売店との商談が下手で、棚の確保十分できていなかったのです。さらに、店頭で商品がしっかり並んでいるかを継続的に確認しないので、商品がしばらくすると棚から消えてしまうのです。しかしこの会社はそんな状況を改善するよりも、次の新商品の企画に取りかかる癖がありました。対照的に、競合他社は商品力だけではなく、徹底した小売りの店頭フォローを行い、棚を継続的に確保することで安定した売上を実現していました。
別のクライアントである業界大手の機器メーカーの話しです。「売上が減少している。どうも競合が有利な取引条件を顧客に提示している可能性があるので調査してほしい」という依頼をもらいました。調査の結果、価格や取引条件には大きな違いはありませんでした。しかし見積もり回答のスピードが問題でした。このメーカーでは社内部署との各種調整に時間がかかり、見積もり回答に数週間を要すこともありました。一方の競合は、即日回答を実現しており、顧客はその仕様と価格で社内の投資決定をし、そのまま発注に至るという状況になっていたのです。
これらのケースも含め、成功している多くの企業は何か特別なことをしている訳ではありません。しかし、基本的な業務を顧客目線で徹底的に「キチンとやる」ことが競争優位、つまり差別化になっていると言えるでしょう。
翻って皆様の会社はどうでしょうか?
・お客様からの問い合わせに数時間以内に回答できていますか?
・ホームページにお客様が必要とする情報を掲載していますか?
・見込み客の管理を行い、適切なタイミングで適切なコミュニケーションを継続していますか?
・見積もりや納期、出荷状況をタイムリーに回答できますか?
・お客様との会議で出た課題やTODOを記録し、実行状況を追跡していますか? などなど
実はこれが意外と難しいのです。個人の努力や意識だけでは限界があります。プロセスや社内ルールの見直し、ITの活用などが必要になるのです。
皆さんの会社は「キチンとやれ」ていますか? 是非再点検をお勧めします。