最近いくつかのクライアント先で、「提案書」の作り方に関して話をする機会がありました。私のようなコンサルタントやシステム提供企業だけでなく、B2Bビジネスを行っている企業は、必ず「提案書」「企画案」などを作っていると思います。更にいえば、明示的な「提案書」ではないかもしれませんが、B2Cの商売でも、消費者に対して「提案」を行っているのではないでしょうか。
しかしながら、ビジネスにおける「提案書」「提案」って何でしょうか? 意外と人によって定義がバラバラだなと感じます。
そこで、今回は「提案書」について整理をしてみたいと思います。
私は、「提案書」は 3種類ある と考えています。
一つ目は、「解決策を提示する」提案書です。
システム導入案件などの場合、顧客企業側から「提案依頼」があり、その中に、その企業が解決したい課題やありたい姿が提示されています。
それに対してベンダーとして、最適と考える解決策や実現策を提示するものです。場合によっては、具体的な解決策まで明記してあり、その場合はベンダーとしては、価格勝負になってしまいがちです。いずれにしても、最終的にはこの「提案書」が受注後の提供内容の大枠を規定し、ある意味契約の一部を構成します。
二つ目は、「自社の解決能力を提示する」提案書です。
これは、自社がどんな課題に対する解決能力・解決アプロ―チを持っているか、他社と比べてどれだけ優れているかを提示するものです。
ひとつめの提案は、受け身のアプローチですが、この提案はこちら側の能力を提示することで、それを欲する顧客企業を呼び寄せるアプロ―チになります。仮にこの自社の解決アプローチを顧客が受けいれると、1つのめの提案書の内容は、これに沿ったものとなります。つまり、自社の土俵で案件を進められるようになります。
最後は、「課題を提示する」提案書です。
今日情報はあふれ、経営課題を多岐に亘っています。そんな中で、自社の課題に気づいていないケースも多いと感じます。
そういう時は、「こんな課題はありませんか?」「こんなことを実現した企業がありますよ」という、気付きを与えるアプローチが効果的です。当然ながら、ここで提示した課題に対して、2つ目の提案書の中で「解決する能力を提示する」ことが可能な訳です。
1は作業計画書的な側面がありますのでどんな案件でも最終的には必要ですが、自社の土俵で進めるには、3ないしは2から入ってから、1につなげる提案アプローチが望ましいです。特に3については、需要が飽和した時代の需要創造のアプローチとして今日求められているアプローチです。「ドリルを売りたければ、穴を売れ!」という訳です。
皆さんは、「提案書」を区別して提案していますか?